上海出産事情②上海の産休規定 [上海出産事情]

働く女性が出産・子育てする場合、産休に関する法律・規定は大きな関心事。
私も自分が妊娠してみて、改めて興味を持った。
前の会社で人事にいた時に少し勉強したので大まかには知っていたのだけど、新しい政策も出ているみたいなのでおさらいしてみる。

中国では国の法律でもいろいろと決められているけど、各都市ごとにさらに弁法や通知などで細かく定めている。そのため各地で少しずつ取り扱いに違いがある。
まず一番大きな法律が≪中華人民共和国労働法(1995年施行)≫。
ただしここには“妊娠7ヶ月以上の場合には仕事時間の延長や夜間労働をさせてはならない(第61条)”“産休は90日を下回ってはならない(第62条)”“1歳未満の子どもがいる場合には仕事時間の延長や夜間労働をさせてはならない(第63条)”など、いずれも大まかにしか書かれていない。

そして≪女職工労働保護規定(1988年施行)≫。
これはもう少し具体的で、例えば下記のような内容がある。
①女性従業員の妊娠、出産、授乳期間に基本給与を下げる、あるいは労働契約を解除してはならない(第4条)
②妊娠7ヶ月以上の女性従業員には一般的に夜間労働をさせてはならず、労働時間には一定の休憩時間を与える。労働時間に出産前検診をする場合には、労働時間に数える(第7条)
③女性従業員の産休は90日、うち出産前は15日とする。難産の場合には産休プラス15日、多胎児出産の場合は一人につきラプラス15日とする(第8条)
④1歳に満たない子どもを持つ女性従業員に対して、会社は労働時間内に毎回30分、2回の授乳時間を与えなくてはならない。多胎児の場合、子ども一人につき毎回30分の授乳時間をプラスする。授乳時間をまとめて利用することも可能で、授乳時間と会社にて授乳のために移動する時間も労働時間に数える(第9条)
⑤女性従業員が労働保護の権益を侵害された場合、所在会社の主管部門あるいは現地労働部門に不服を申立てる権利を有する。申立を受理した部門は書面を受け取った日から30日以内に処理決定を行わなくてはならない。女性従業員が処理決定に不服の場合、処理決定を受け取った日から15日以内に人民法院に起訴することができる(第12条)

さらに上海における規定としては≪上海市女職工労働保護弁法(1990年施行)≫がある。
上記の内容をベースに、細かく規定される。
①妊娠7ヶ月以上(28週として計算)の女性従業員に対しては、毎日仕事の合間に1時間の休憩を与えなくてはならず、夜間労働をさせてはならない。仕事が許し、本人の申請と会社の批准を経た場合には、2ヵ月半の出産前休暇を取ることができる(第12条)
②妊娠期間に医療保険機構の約定により労働時間内に出産前検診(妊娠12週内の初診も含む)を行う場合、労働時間として数える(第13条)
③産休は情況に応じて下記のようになる。
(1)胎児一人・自然分娩の場合、産休は90日。出産前15日、出産後75日。
(2)難産は産休プラス15日。多胎児の場合は一人につきラプラス15日。
(3)妊娠3ヶ月以内に自然流産あるいは子宮外妊娠した者は、産休30日。妊娠3ヶ月以上7ヶ月以下で自然流産した者は産休45日(第13条)
②(上記授乳時間の内容にプラスして)子どもが満1歳後、県レベル以上の保険機構が虚弱児と診断した場合、最長6ヶ月を超えない範囲で授乳期間を延長してもよい(第15条)
③女性従業員が生育後に困難があり仕事が許す場合、本人により申請を提出し、会社が批准すれば6ヵ月半の授乳休暇を取ることができる(第16条)
④産休中の給与はこれまで通り支給する。本規定に基づき出産前休暇、授乳休暇を取る場合には本人の元の給与の80%を支給する。会社が給与を増額する場合、女性従業員が取った出産前休暇、産休、授乳休暇期間は出勤していたものとして対処しなければならない(第18条)

そして上記とは別途、≪上海市人口と計画出産条例(2004年施行)≫に高齢出産に関する規定がある。
①すでに結婚した女性が第一子を出産する際に満24歳である場合、高齢出産とする(第24条)
②本規定に符合して出産する女性は、国家規定の産休以外に、高齢出産休暇30日をプラスし、その配偶者は高齢出産看護休暇3日を取ることができる。高齢出産休暇と高齢出産看護休暇は産休と同等の待遇を受ける。

つまり私(出産時28歳、初産)の場合、自然分娩だとして産休90日(出産前15日+出産後75日)+高齢出産休暇30日で120日間の産休がもらえる。
妊娠7ヶ月からは1日1時間の休憩時間、出産後がんちゃんが1歳になるまでは1日1時間の授乳時間がもらえる。
またこの間の給与も上記の基準により保障されている。
ちなみに相方は3日間の高齢出産看護休暇がもらえる(実際のところ、自営業だから関係ないけど・・・)。

ちなみに中国には社会保険の中に生育保険(月額納付額:保険計算基数×0.8%、会社全額納付で個人負担なし)というのがあるので、本人が社会保険に加入している場合には産休期間中に出産生活手当が支給され、これが給与相当分となり会社負担とはならないしくみになっている。
今年7月1日から施行された新社会保険法により、出産生活手当は雇用会社の昨年度の従業員月度平均給与を基数として支給されることとなった。
上海市では、雇用会社の月度平均給与が上海市の昨年度の全市月平均給与の300%を上回る場合には300%により計算・支給、逆に全市月度平均給与の60%を下回る場合には60%により計算・支給することとしている。また雇用会社の昨年度月度平均給与が全市の月度平均給与300%を上回った部分については、会社が補填することとなっている(上海市人民政府≪社会保険法≫当市現行調整貫徹に関連する生育保険政策についての通知)。
ちなみに上海市の2010年度の月度平均給与は3,896元なので、出産生活手当支給の上限300%は11,688元、下限60%は2,338元となる(この数字はそのまま社会保険納付基数の上限、下限となる)。

そういえばこの新社会保険法の施行に伴い、中国で就業する外国人の社会保険加入義務化が現在話題になっているが、その中にはこの生育保険も含まれる。
すでに中央からは具体的な通知が出て10月15日から義務化となっているが、上海では実施細則など全く出ていないのだけど。
外国人女性も中国で出産した場合に、国から手当が支給される日が来る・・・かもしれない。

ただこのような法律・規定があっても、各企業でどれだけきちんと守られているかはわからない。
多分守られていないケースもたくさんあるんだろう。
コンプライアンスを気にする日系企業では、ある程度の規模の会社になると守っていることが多いと思うけど。
周りの話を聞いても、日系企業に勤めている人は出産前2ヵ月半、出産後半年ぎりぎりまで休暇を取るなど、割とうまく産休規定を使っているようだ。
規定だけで見るならば、中国の働く女性の出産に対する政策は決して悪くない。
今のところあまり聞いたことがないけど、そのうち男性も育児休暇が取れるようになったりしないものだろうか。

まあ、私自身は勤める会社の規模が小さくもともと融通が利くのであまり心配する必要はなさそうだけど、念のために自分の権利として知っておいた方がいいなと思う。
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