上海出産事情⑥妊婦の扱われ方 [上海出産事情]

上海で数ヶ月妊娠生活をしてみて、多くの場合において妊婦はかなり大切にされていると感じる。
私が少しでもつまづいたりすると、“重点保護(動物や建物など主に国の保護対象を指す中国語)なんだから気をつけないと!”などと同僚に冗談で言われたりするくらいだ。
私は日本で妊婦生活を送った経験がなく比較はできないため、あくまでも私自身が上海で感じたこと。

①席を譲られる
私の場合は妊娠後期にならないとお腹が目立たなかったのであまり気づかれないことも多かったけど、後期に入って一目で妊婦とわかるようになるとかなりの確率で席を譲られるようになった。
譲ってくれる人で一番多いのはやはり若年~中年の女性で、人によっては遠くから“こっちに座りなさい!”と叫んででも譲ってくれた。
それから意外にも学生くらいの若い男性。
ある日結構込んでいるバスの中で珍しく誰も席を譲ってくれないなあと思っていたら、2停留所ほど過ぎてからいきなりすぐ目の前に座っていた高校生の男の子が立ち上がり、“すみません、寝ていたので気がつきませんでした!”とこちらが恐縮するくらい慌てて席を譲ってくれたこともあった。
私の経験上、妊婦とはっきりわかる場合の上海の公共交通機関(バスと地下鉄)における席譲られ率は80%。

②声をかけられる
とにかく街中で声をかけられる。しかも老若男女を問わない。
職場に弁当を届けに来たおじさんに“もうすぐお母さんだね!”と言われたり、タクシーの運転手さんだと最近生まれた自分の親戚の子どもの話だのカルシウムがいかに大事かという話だの上海での教育費は天井知らずだという話だのを乗車から降車まで延々とされることしばしば。
バスの中も声をかけられやすいスポットで、席を譲ってくれたおばさんが“もうすぐ自分のところも生まれるのよ”とうれしそうに話をしてくれたり、はたまた“何ヶ月なの?お腹あまり大きくないわねえ”と延々とお腹に関する講義を聞かされたり。
住んでいるアパートの敷地内を小さな孫と散歩しているお年よりにも“いつ生まれるの?”と声をかけられたことも何度か。
そして私と相方がよく行く近所のお店では顔を出すたびにコメントされる。
まずは家の向かいにあるローソンの店長さん。
見かけはちょっと派手なおば様なんだけど、今日行ってみると“もう産んだのかと思ってたわよ!でもお腹を見る限りまだ赤ちゃんは下りてきてないわね”とのコメント。
以前ローソンの前にある果物屋さんで買い物をしていたらいきなりこのおば様が現れて、妊娠中の果物の食べ方や選び方を教えてくれたりもした。
そしてDVD屋のおばさんは、男の子か女の子か見分ける方法なんかを教えてくれたり、よく私と相方が仕事帰りに野菜市場で待ち合わせをして一緒に帰るので“いつも大きなお腹の奥さんを迎えに来てくれていい旦那さんね”と言われたり。
多分がんちゃんが産まれてからも、いろんな人が声をかけてくれるんだろう。

③職場
多くの場合は男性でも女性でも非常に気を使ってくれる。
“残業なんてしてないで早く帰りなさい”と毎日言われたり、おやつの時間には果物やお菓子をくれたり、毎日いろいろな妊娠豆知識(食べたほうがいいものや普段の生活で気をつけなくてはいけないことなど)を教えてくれたり。
びっくりしたのは外出時に必ず荷物を持ってくれること。これは男性女性問わず。
同じ年くらいの同僚ならありがたく持ってもらうけど、大先輩が持ってくれたりするとやっぱり気が引けてしまう。
でもあまり断るのも失礼な気がして、ほとんどの場合甘えることにした。
むくみがひどいという話をしたら少し歩いたほうが引くということで、訪問先からの帰りに地下鉄を待つホームの端から端を一緒にうろうろ歩いてくれた先輩(普段はとても怖い上海女性)には感動した。

④外食
同僚とでも友達とでも、とにかく食事の際は基本的に優先権がこちらに回ってくる。
何か料理が出てきたらまず初めに食べさせてくれるし、食事中ずっともっと食べろと言われ、さらに食べ方が足りないとわざわざ取り分けてくれたりする。
これが顕著にわかるのが円卓で食事をした場合で、仕事関係だともちろんビジネス上のマナーが優先はされるんだけど、ボスかお客さんの次に優先権が来る。
もしくはお客さんも気を使って先に薦めてくれたりする。
お店側もはじめから禁煙席に案内してくれたり、暖かい奥の席にしてくれたり、お茶ではなく白湯を出してくれたりといったサービスも。
中には聞いていないのに妊婦によい料理を勧めてくれたりする店もあったり。
確かに全く気を使ってくれず禁煙と書かれているのにタバコをぷかぷかするおじさんの横に座らせられたりという店もあるにはあったけど、でも多くの場合VIPに近い対応だったと思う。

私が妊娠したばかりの頃、中国人同僚が“女性は人生に一度女王様になれるときがあるのよ、それが妊娠したときよ!”と言っていた。
大げさなことを言うなあと思っていたけど、周囲の対応を見ているとまんざらでもないかもしれない。
お腹にもう一人いるということは大変ではあるんだけど、でもこうやっていろいろな人に支えられたり関心を持ってもらいながら(場合によってはちょっと有り難迷惑なこともあるけど)出産を迎えることができるのは、とてもありがたいことだと思う。
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