出産後の入院生活⑤退院後の生活指導 [健診・出産(上海国際和平)]

中国の産婦人科では授乳や沐浴など退院後の生活のことを何も教えてくれないし、看護師や助産師のケアもまずないと出産前からよく聞いていた。
確かに“母乳をなるべく飲ませて”と言われはするものの、じゃあ実際にどうやって飲ませるかという指導はオプションの乳腺開通以外ではほぼなかった。
ただ一応入院二日目の朝に食事指導の人が来て、入院中の食事について何か食べられないものなどあるか聞かれ、産婦の食事に関する注意事項の資料をくれたり、退院前に産褥期の注意事項や新生児のケアに関するパンフレットをくれたりはする(すべて中国語)。

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内容は大まかにこのような感じ↓

【産婦の飲食に関する注意】
1.産後の体は弱っているので、体力を徐々に回復させるため柔らかく消化によい食べ物を摂ります。一度にたくさん食べ過ぎず、少量を多く食べるようにします。
2.オートミール、麦芽、大麦茶は母乳を止める働きがあるので、哺乳期間は食べるのを避けたほうがいいです。老母鶏(一定の年齢に達した雌の鶏)は多くの女性ホルモンを含んでいるので、体内の乳素分泌を減少させ、母乳の分泌が減るため、産後2週間以内はこれらを食べてはいけません。
3.乳腺管は赤ちゃんに完全に吸われて円滑になるまでは、乳腺管が詰まり母乳分泌へ影響するのを避けるため、大量の滋養スープを飲んではいけません。
4.リュウガン、赤棗、トウキ、あきょうは血液の循環を活性化させるため、産後悪露をが完全に出なくなることがありますので、産後1ヶ月以内は食べてはいけません。産後の血を補うためには鉄分が体に吸収されやすい動物の肝臓・血を退院後毎週2回、毎回50g食べるのが望ましいです。
5.授乳期間は毎日少なくとも2杯の低脂肪牛乳を飲み、頻繁に太陽に当たり、カルシウム不足にならないようにしましょう。
6.帝王切開の場合、例えば魚、エビ、鳥類(皮を除く)などの高タンパク質低脂肪の食べ物を選ぶと、傷口の癒合を促進することができます。ハムは伝統的には傷口の癒合を促進すると考えられていますが、大量の食塩と亜硝酸塩類を含んでいますので、産婦が口にするのにはふさわしくありません。
7.果物は毎日小さいものを2つ、キウイ・オレンジはビタミンCを豊富に含んでいるので鉄分の吸収を促進することができ、産婦が食べるのに適しています。スイカ?梨などの寒性の果物は1ヵ月後に食べることができます。

【産科健康教育資料】(一部省略)
>産婦産後保健
1.飲食
栄養について:主食以外は乳製品、肉類、豆製品、新鮮な野菜と果物をたくさん摂り、生もの?冷たいもの、硬いもの、揚げ物はあまり食べない。毎日たくさん水を飲み、暴飲暴食は避ける。
母乳の出をよくする食べ物:フナのスープ、甘酒卵スープ、腿肉大豆スープなど
2.衛生習慣
産後の入浴:自然分娩後は即入浴が可能ですが、シャワーのみで、悪露がなくなるまでは湯船での入浴は禁止です。帝王切開後は10~14日後に入浴が可能となりますが、術後1ヶ月は腹部の傷口にボディーソープや石鹸を塗ってはいけません。入浴の際には冷えないように注意が必要です。
衣服はゆったりとして、寒さ暑さに適したものを。過度に着込まず、特に夏は産褥夏当たりにならないように。
3.母乳育児
母乳は赤ちゃんにとって天然で最適な食品であり、ほかのいかなる物でも代えることができない多くの優位点があります。母乳育児は産婦の産後出血を減らし、子宮の回復を促進します。
純母乳での4~6ヶ月育てることをお勧めします。また生後2週間からあかちゃんにビタミンD剤を与えるといい(小施尓康または魚肝油)。
4.産後運動の利点
産後体操を続けることは体型回復や子宮収縮、悪露の排出を促します。

>新生児ケアと保健
1.保温
室温:22~24度、一定の湿度を保つこと。室内の換気を保つと、赤ちゃんの風邪、肺炎などの呼吸器系統の疾病を予防すると同時に、産婦の傷の癒合にもよいです。新生児の体温は36.5~37.4℃に保つこと。新生児の沐浴は室温26~28℃、水温38~42℃で行う。
2.授乳
母乳育児は最も理想的で、必要に応じて授乳をし、一般的には一回の授乳は10~20分です。授乳前は口内感染を防ぐため、乳首あるいは哺乳瓶の乳首を清潔にしましょう。授乳後は新生児を抱き上げ、軽く背中をたたいて空気を吐き出させます。
3.おへそのケア
毎回入浴後に75%アルコール綿棒を使っておへその中心から周りへと螺旋状に2度消毒をします。おへそは乾燥して清潔にしておく必要があり、もし膿のような分泌物やにおいがある場合には、専門医にて診察を受けましょう。
4.おしりのケア
ベビーパウダーはいけません。毎回うんちの後は赤ちゃん用のやわらかいウェットティッシュで拭くか、もしくはぬるま湯で洗いましょう。きれいになった後はケアクリームを塗ってもかまいません。
5.目耳鼻口のケア
目の分泌物が多いときには浄水できれいに拭いた後、目の軟膏を塗ってもかまいません。赤ちゃんが手で引っかかないようにします。
耳と鼻は清潔に保つようにし、ミルクなどが入らないようにします。
6.BCGは生後48時間以内に接種、B型肝炎は生後24時間以外に接種の上、1ヵ月後に緑色の接種手帳を持って戸籍所在地の街道医院にて2度目を接種します。
7.新生児黄疸
生理的黄疸は出生後2~3日で現れ、4~5日がピークで、1週間後に自然に消えます。日光をたくさん浴びると黄疸は早く引きます。もし黄疸が重い場合には、適時に診察を受けましょう。

【新生児のケアと授乳】(一部省略)
>新生児のケア
住居:新生児は必ずお母さんと同じ部屋に住む必要があります。部屋はなるべく南向きで、冬は暖かく夏は涼しい所がよいでしょう。室内の空気が流れるようにし、喫煙と猫や犬などのペット飼育は禁止です。室内温度は22~28℃がよいでしょう。赤ちゃんはお母さんと同じベットで寝てもいいですし、また小さなベットで寝てもかまいません。ベット用品は綿100%のものを選び、布団は柔らかすぎてはいけません。夏に扇風機やエアコンを使用する場合には風邪が直接赤ちゃんに当たらないようにしましょう。冬は電気毛布を使用してはいけません。暖房機やエアコンを使用する場合には、室内に一杯の浄水を置き、赤ちゃんの肌の水分蒸発を減らすようにしましょう。
衣服:新生児の衣服、特に下着は柔らかい綿100%のものを選び、新しく買った服や布は先に水浸しておきましょう。子どもの服はゆったりしたものが原則で、下着は硬い縫い目あるいはふちどりがあるものはいけません。衣服はボタンやゴムがついているものは避け、ヒモで結ぶものにしましょう。冬に生まれた赤ちゃんは室温が20℃より低い場合には帽子をかぶせてください。新生児期にはおむつはやわらかいものにし、清潔な綿100%のシーツで作るのが最もよく、大きさは適当なものでゆったりし過ぎてもいけません。おしめの外側にはビニールなどの空気を通さないものを当ててはいけません。赤ちゃんは服を着た後自由に手足を動かせるようにし、布や布団で赤ちゃんを縛るように包むのは絶対にいけません。
体温:新生児の体温は変化が大きく、また外の温度に影響を受けやすいです。寒ければ肺炎になったり、皮下組織が硬く腫れたり、また暑すぎると脱水症状を起こします。これらに適時に気付くためには、毎日一度新生児の体温を測るのが一番よいです。とくに暑い、また寒い季節、新生児に以上があって不安な場合には毎日測る必要があります。体温の測定は直腸で測るのが最もよく、お風呂上りの赤ちゃんは30分後になってから測定してください。正常な新生児の肛門温度は37.5℃から上下0.5℃です。肛門温度が36.5℃以下、もしくは38.5℃以上の場合にはすぐに医者にて診療を受けてください。

>新生児の授乳
母乳は赤ちゃんにとって最も理想的な食べ物で、赤ちゃんが成長発育する上で必要なすべての栄養成分を含んでいるだけではなく、この成分とその比率は赤ちゃんの月齢にともなって変化していきます。母乳の中には豊富な免疫物質が含まれており、赤ちゃんをいろいろな病気から守ります。授乳時には母子の皮膚が頻繁に触れ合い、感情の交流がありますので、母親の愛撫や世話は子どもの心理が健全に社会に適応する上で有益です。
(1)母親はどのようにして十分な母乳を維持するか
まず私達が理解しなければならないのは、産後は胎盤が分娩されたことにより抑制がなくなる以外に、最も重要なのは母親の乳首は赤ちゃんの吸う動作の刺激を受けることです。赤ちゃんが頻繁に吸うことで母乳の分泌が絶え間なく行われ、増えることにより、赤ちゃんを満足させることができるのです。
母親は十分な母乳を維持するために以下の数点に注意が必要です。
①産後はなるべく早く赤ちゃんに触れ、また頻繁に吸わせる
②母子は同室で、母子双方の必要に応じて授乳を行う
③授乳のテクニックを取得すること
④哺乳瓶は使わず、砂糖水や牛乳を与えない
⑤産後1~2週間以内は、授乳後に余った母乳は搾乳して空にする
(2)あなたの母乳量が十分かどうかをいかにして推定するか
一般的には、産後1~2週間は母親が授乳前にいつも乳房の膨張感があり、授乳時にお乳が出た感覚があり、赤ちゃんがお乳を吸う際に飲み込む音が聞こえ、授乳時間と授乳時間の間に赤ちゃんが静かに満足しており、目がきらきらして、反応が敏感であれば、母親の母乳量は赤ちゃんの需要を満足させていいるといえます。これら以外にも2つの方法で観察をすることができます。
①母乳以外に他の液体を加えなくとも、1日24時間内に赤ちゃんの排尿が6~8回を超え、尿の色が薄い黄色
②赤ちゃんの体重を量ると、毎週体重の増加が毎週125g、つまり毎月500gを超えている
(3)いかにして暫定的に母乳が足りない時期を乗り越えるか
母子共に疾病がなく、単純に母乳の不足である場合、母親は絶対に焦ったり悩んだりせず、心を穏やかに保って、絶対に成功するという自身を持ってください。下記のような母乳増加を促進する方法があります。
①必要に応じて授乳する:両方の乳房を10分以上吸わせた上で他のミルクを足し、日ごとに足す量を減らしてください。夜間の授乳は必ず続けてください。
②栄養に注意する:母乳分泌増加を促進する食べ物をたくさんとりましょう。例えば、フナ、豚足、鶏とそのスープ、大豆、豆腐、ヘチマ、胡桃、ゴマなど。

>人口授乳
母乳は赤ちゃんにとって最適ですが、母親が急性伝染病になるなどの特殊な事情により母乳育児ができない場合、市販の赤ちゃん用粉ミルクが最適な代替品です。

>いつから離乳食を与えるか
母乳育児でもその他でも、赤ちゃんが4ヶ月になったら適時に離乳食を与えます。

>栄養専門家の忠告
乳幼児の食べ物は、塩・香料・防腐剤と多すぎる砂糖は加えてはならず、天然の味付、栄養豊富でバランスよいものがふさわしいです。市販の乳児食品の一部は味付と匂いが非常に濃く、塩などの調味料あるいは香料を加えていると思われますので、若い両親は商品を選ぶ際に必ず注意する必要があります。

私が読んだ母乳に関する日本の本と同じようなことが書かれている部分もあり、周りの中国人からは母乳にこだわるような話をこれまであまり聞いたことがなかったので、こんなふうに書かれているとはちょっとびっくり。
しかも入院中に一日40㏄×6回もミルクを足していたので、この病院がこんなに母乳を推進しているとは思わなかった。
産後に食べろと薦められている食品や、母乳の分泌を促進するとされる食べ物もけっこう興味深い。この辺りは漢方の考え方が強いんだろうか。
離乳食が4ヶ月からというのは、日本の基準からするとちょっと早いのかな。
まあ、こんな形式上のことだけではなくやっぱりもうちょっと具体的なことを教えてくれと思ったりもするけど、日本の育児本を読んでいたってその通りにはいかないんだし、きっとこちらではその辺りは産褥期にお世話に来てくれるお母さんや月嫂(産褥期専門のお手伝いさん)がカバーするんだろうな。
何事も教科書通りにはいかないということで、周りの人にも頼りながら、相方とりんりんと一緒にぼちぼちやっていこう。
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mimi

たくさんの説明、中国語のできない私にはとてもうれしいです!中国は離乳食4ヶ月からなんですね。。。この本が正しいのかはなんとも言えませんが、西原克成先生著書の赤ちゃんの新化学」には、離乳食は1歳を過ぎてからと書かれています。日本でも5ヶ月からの離乳食が一般的ですが、この先生によると赤ちゃんの腸はまだ発達途中なので、離乳食を早い時期にあげるとアトピーになるとのこと。昔は皆1,2歳まで母乳で育てていたからアトピーはなかったが、現代の子供はまちがった離乳食で二人に一人はアトピーだと。。。何が正しい情報かわかりませんが、一応参考までに。(特にたんぱく質の入った離乳食は避けたほうがいいとありました。)もし、怖がらせてしまっていたらごめんなさい。
by mimi (2012-02-10 17:05) 

ちくわまま

>mimiさん
情報ありがとうございます!いろいろな考え方があるんですね。
WHOの基準だと確か6ヶ月だったような・・・。
中国で一般的に4ヶ月から離乳食なのかはわかりませんが、国際和平は上海では三大産婦人科病院の一つなので、ある程度の根拠はあると思われます。
ただ調べてみると、中国衛生部が2007年に“嬰幼児喂養策略”という文書を出していて、そこには母乳育児の推進や母乳が6ヶ月までの嬰児にとっては最も合理的な栄養食品であること、また“6ヶ月以上の嬰児には合理的な離乳食を与えるよう家族に指導する”と記載されています。中国でもいろいろな考え方があるみたいですね。
我が家も離乳食まではもう少し時間があるので、もうちょっと考えてみたいなと思います。
by ちくわまま (2012-02-11 00:06) 

ちくわまま

あ、もう一つデータが見つかりました。
国務院の関連部門が行った“中国10都市0~6歳児童健康調査”によると、離乳食開始4ヶ月以前が37%、4~5ヶ月が28%、5ヶ月以降が35%だそうです。やっぱり中国の離乳食始める時期はちょっと早めかもしれないですね。ただしこの調査は2005年の結果なのでちょっと古いデータですが。
by ちくわまま (2012-02-11 00:27) 

mimi

いろいろ教えて頂いてありがとうございます。
日本の別の本を読むと、「親の食べ物を口で砕いて、赤ちゃんにあげて大丈夫。抗体も伝わるので、赤ちゃんにとって良い」とありました。大人の食べ物は味付けが濃く、また親の口に入ったものは虫歯が移るとも言われているので、ホントかな?という感じですが、子供はどんな育て方してもある程度育つと気楽に子育てする気持ちも大事なのかもしれませんねぇ。

現在、上海で病院を探しているのですが、国際和平は予約でいっぱいでやはり無理でした。。。どこか出産できるとこが見つかればいいのですが、、、。
by mimi (2012-02-14 17:15) 

ちくわまま

>mimiさん
コメントありがとうございます!
mimiさんはウェルビーなど医療サービスの会員になられていますか?
私は別にウェルビーの回し者ではないですし(笑)、妊娠のことがなければ入会しなかったと思いますが、でも妊娠・出産にあたってはこのサービスはすごくいいなと思いました。

私も国際和平に直接電話したときは無理でしたが、ウェルビーを通したら2週間後に予約が取れました。
またウェルビーは国際和平に専属スタッフを置いていて、彼女はもう7年あちらで通訳をしているということで、とても頼りになりました。
ちなみに、私達は先にウェルビーに問い合わせをして、国際和平の予約が取れる確約をもらってから入会しました。

今年は特に辰年のベビーラッシュの関係で、あちこち病院が予約しづらい状況になっているようですので、こちらで産むのであれば早めに手配されたほうがいいかもしれないですね。
会員費を払ってでもこうしたウェルビーのような医療サービスを利用するのは手かなと思います。
国際和平が無理だった場合でも、出産の病院について相談には乗ってくれると思います。

念のため↓
ウェルビー http://www.wellbemedic.com/
by ちくわまま (2012-02-14 22:21) 

mimi

詳しい説明ありがとうございます。ウェルビーに問い合わせをしましたが、ウェルビー経由でも国際和平は無理とのことでした。私は全く中国語ができないので、通訳という意味でもウェルビーにお願いしようか検討中です。早く病院決まればいいのですが。。。
by mimi (2012-02-16 16:31) 

ちくわまま

>mimiさん
もう国際和平もいっぱいなんですね!
確かに例年に比べてものすごく混んでいると、前にウェルビーの通訳さんも言っていました。
ローカル病院だと浦東(浦西にもありますが、浦東の方が設備が新しくていいようです)の上海市第一婦嬰保健院も最近日本人で出産されている方がいらっしゃると聞いたことがあります。
ただし言葉の問題はやはりありますね。
早く病院が決まって安心したいですね。
by ちくわまま (2012-02-16 19:02) 

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