出産の記録[後編]分娩〜出産 [健診・出産(上海国際和平)]

 20時、分娩担当の先生が来て内診をしながら破水を促進する措置をしてくれる。“陣痛はかなりいいんだけど、陣痛と陣痛の間隔がもうちょっと短かったら赤ちゃんもおりて来やすいんだけどねえ”とのこと。“すでにどうしようもないくらい痛いです”と言うと、“この状態で痛くなかったら、そのほうがおかしいから”とまた励まされる(?)。もう耐えるしかないとひたすら耐えていると、“いい状態になって来たから、このまま分娩に進むよ!”と言われ、先生が準備を始めるとベットがテレビで見たことあるような分娩台へと変身。
 
 私はなぜか分娩台に上がったらもうすぐに生まれるというイメージがあり、え?もうですかい?と期待していたら、これが甘かった。確かに物理的には、陣痛が始まってから生むまでの全体的な割合から言ったら分娩は本当に最後の何パーセント。でも気分的にはこれが永遠に続くんじゃないかと思うくらい長い。 陣痛に合わせて力むんだけど、ただでさえ痛い陣痛の痛みに耐えながらその上力むというのは、めちゃくちゃ大変。世の中のお母さんたちは本当にすごい。先生からはじめに“陣痛の一番痛いタイミングまで我慢して、それがきたら息を吸って止めてから力んで!”と説明された。しかも一度力んだら長く力まないといけない。このコツを掴む中盤までがとにかく大変だった。

 前半、予想していなかった痛さでパニックになり、しかも貧血か低血糖みたいな状態で目の前が真っ暗になって力が入らなくなった時間があった。この時になって夕飯をちゃんと食べておかなかったことを激しく後悔。ここで大活躍したのが、前に助産師さんがお薦めしていたので相方のお母さんにもたくさん買ってきてもらったウイダーインゼリー。また相方がすごくいいタイミングで冷蔵庫に入っていたものを渡してくれた。ウイダーインゼリー片手に陣痛の合間にグビグビ飲みながらお産が進むという、ともするとウイダーインゼリーのCMのような光景だったと思う。これで身体的にはとても救われた。
4つ一気飲み。

出産必需品.jpg

 精神的には分娩の先生に喝を入れられ続けたことが大きかった。途中でちょっとやけになった瞬間があって、“もう痛過ぎて本当に無理!”と逆ギレしたら、“痛いんだったらその勢いで力まないと損でしょ!陣痛を1回逃したら痛い損なのよ”と言われ、痛いながらもそりゃそだなと、何だかすごく納得してしまった。低血糖で力が入らなくなった時も、“少しだけなら休んでいい。でも少しだけ休んだらまたがんばらないとだめ!ここで後戻りはできないんだから進むしかない!”と鬼コーチのようなことを言われ、“あなたもつらいけど赤ちゃんもつらい!終わっちゃえば辛くなくなるんだから、終わらせないと!”と励まし続けてくれた。そして力む時には“いいよ!その調子!もう一回頑張れ!続けて!続けて!”と本当に何かスポーツのコーチのように文字通り叫び続け、もうやるしかないという気にさせてくれた。あとで廊下で待っていてくれた相方のお母さんに“あの先生はすごかったね”と言わたので、外に丸聞こえなくらいのボリュームだったということなんだろう。この先生は最後の10分くらいがんちゃんが出てくる直前までずっと一人で分娩をしてくれたんだけど、とてもあのテンションとエネルギーで毎回分娩をするのは、本当にすごい。若いんだけどとてもいい先生で、感動した相方は私が出産後でヘロヘロの時に一緒に写真を撮ってくれて、いい記念になった。

 結局分娩は途中が一番辛くて、最後は本当にすごくあっという間だった。ビイダーインゼリーと先生の掛け声と相方の後押しのお陰と私が力むコツをちょっとだけ掴んで開き直って頑張る気になってからやたらと進みが早かったようで、赤ちゃんを迎えるために他の先生や看護師を呼んだり道具を用意したりするのが間に合わなかったらしく、最後は“あのー、痛いのでさっさと力みたいんですけど”というと、“ちょっと軽く力んでおいて”と言われるしまつ。この間に会陰切開用の麻酔をおしりにぶすっと刺されたけど、もうそんなものは屁でもなかった。最後は“もう赤ちゃんが出てこられるから、今回は力めばいいだけじゃなくて、私が力むのをやめてと言ったら力まないでね。私のいうことをよく聞いて協力してね”と言われ、その前2、3回陣痛がきていたのに力めなかった分を込めてふーんっと踏ん張ったら、いきなり“はい、力まないで!”と言われ、勢い余って“はっ?じゃあどうすればいいの?”と相方に聞いている間にがんちゃんはするするっと出てきた(と相方が言っていた)。血まみれで一回お腹の上に置かれたがんちゃんはその後叩かれておぎゃーっと泣いた。ここだけは本当にテレビなんかで見るのと一緒だった。21時32分、分娩時間は50分、結構なスピードでがんちゃんは出てきてくれた。
 
生まれたてのがんちゃん。
おへその処理をしたらすぐに包帯を巻く。

生まれて3分後.jpg

 “妹妹(女の子)ね”と先生に言われる。おー、予想通り!最初は鬼コーチの先生一人だけだったのが、いつの間にか4、5人の医師やら看護師が周りを囲んでいて、最後の瞬間に立ち会っていた。担当の周先生も来てくれて、“自然分娩できてよかったわね”と言ってくれた。

 がんちゃんがたくさんの人に囲まれて産後の処置をされている間、へその緒に繋がった胎盤がぷるんと出てきた。これはつまっていたものが出てきた、という感じでほとんど痛くなかった。ちなみに会陰切開をするつもりだったみたいだけど最後の私の力みでがんちゃんがするっと出てきてくれたので、結果的には切らずにすみ、ただ少しだけ自然に切れてしまったので縫合だけはされた。これは麻酔もしているのでほとんど痛くなくて、結構痛いという話も聞いたことがあったんだけど助かった。糸は自然に吸収されるタイプで抜糸もなしということ。ほっ。

 ただがんちゃんは羊水の中でフライングでうんちをしてしまい、羊水が濁っていたということで一晩は新生児科で経過観察に。この病院は本当なら生まれた時から母子同室なんだけど、一日目は別々に。がんちゃんは綺麗に洗われて服を着せられてから少しだけ私に抱っこされて、すぐに新生児科に運ばれて行った。でもこの日だけはゆっくり寝られて正直ありがたいかも。

 それにしてもよく考えたら、これ全部中国語でのやりとりだった。途中で私がきれていた時は日本語で叫びまくっていたけど、何か聞かれたことには基本的に中国語で答えていたし、説明も中国語で理解していた。人間、土壇場になれば何とでもなるものだ。ウェルビーの通訳さんを呼ぶことはもちろんできたんだけど、途中は痛くてそれどころじゃなかったし、思ったよりも出産が早かったので結果的には呼ばなかった。でも落ち着いて考えると呼ばなくてよかった。中国語が全く理解できないならいざ知らず、基本的に言われていることがわかっているのに鬼コーチ先生の“続けて力んで!もっと続けて!”なんていうのを中国語と日本語で言われたら、切れそうになったと思う。

 23時前には産後の処理が済んで入院用の部屋にお引っ越しできた。相方とお母さんが長丁場に備えて途中で買いに行ってくれたお寿司を“夜食になると思ったらお祝いのお寿司になったね”と言いながらみんなでつまむ。あー、とりあえず定期的にお腹が痛くならないって素晴らしい。今日中に産めて本当によかった。

 今回は自然分娩ができたおかけで入院が2泊か3泊と短いので、ちょっと奮発して上から2番目に広いA室にしてもらった。ここだとソファベットが付いているので、もう一人泊まることも可能。とりあえずこの日はがんちゃんがいないので相方とお母さんには帰ってもらう。
2時間以内におしっこが出ないとカテーテルを入れると看護師さんに言われたので、それは嫌だと水分を取りまくってちゃんと出してから寝る。

 朝からずっと付き添ってくれた相方とお母さん、遠方から応援してくれた家族、そしてがんばって早めに出てきてくれたがんちゃん、今日はみんな本当にお疲れ様。ありがとう。
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コメント 3

るる

出産おめでとうございます!赤ちゃん可愛い〜!
生む大変さがすっごく伝わりました!ウィダーインゼリーですね。四月に出産予定なんで大量買いしておきます!
by るる (2012-02-01 23:10) 

huihui

あーれー
なんか偶然見つけてしまった!ブログやってたのねぇ。
明日日本から帰ります~
帰ってすぐの1週間は来客と出張続きなので、そのあとにでも
顔見に行きますね!!楽しみです。

by huihui (2012-02-03 23:12) 

ちくわまま

コメントありがとうございます!
実は私がコメント機能をよく理解しておらず、今日までコメントを見られていませんでした。
ごめんなさい(><)

>るるさん
ごめんなさい!以前いただいたコメントも含めて今日拝見しました。
クリスマスは無事に上海で過ごせましたか?
これに懲りず、またこちらにいらっしゃる際にはぜひご連絡くださいね。
出産前はぜひ無理してでもご飯たくさん食べてください!

>huihuiさん
いやいや、びっくりしました!
会えるのを楽しみにしてます。
by ちくわまま (2012-02-06 22:37) 

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